Chill MUSICA

Chill MUSICA / うた / 居留守

居留守

毎朝おなじ車窓に 顔を預けている あたりさわりのない笑みを 骨の上に塗る 「なぜ」という言葉を どこかに置いてきた 拾いに戻る道すら もう覚えていないネクタイの結び目ひとつで 常識の側に立てる 器用に老いてゆく術を 誰に習ったんだろう
まともな声が 喉から出てくる ぼくのじゃない言葉ばかりで
居留守を使うのは やめにしないか ドアの向こう 君が立ってる 居留守を使うのは やめにしないか たぶんそれが はじまりだから
似たような顔が 並木道を渡っていく 机の引き出しの奥に 小さな火を隠してる 報われぬ日が続くと 祈りかたを忘れる 春の雨が止んで ぬるい風が頬を撫でる嘘がうまくなったぶんだけ ほんとうが遠くなった
居留守を使うのは やめにしないか ドアの向こう 君が立ってる 居留守を使うのは やめにしないか たぶんそれが はじまりだから
同じ夜に 息をしてると思うだけで 具体も抽象も どうでもよくなる きみが望むものを ぼくは持っていないけど この手ぶらが ぼくの全部だ
居留守を使うのは もうやめにする ドアを開けたら 春の匂いがした 壊れかけのまま 朝を迎えにいく ぼくらの革命は 机の中からはじまる